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リハビリテーション


当院のリハビリテーションの概念

当院のリハビリテーションは、当院を受診された脳神経疾患に苦しむすべての患者さまを対象に提供されます。常に最新のリハビリテーションの理念や手法を取り入れ、日々の治療の中で得られた知見を臨床研究で検討し治療に役立てていく事を目指しています。
当院は運動器リハビリテーション科(Ⅰ)の施設基準を満たす本格的なリハビリテーション施設を備えており、あらゆる脳神経疾患に対してリハビリテーションを行っています。医療保険で行うことを原則としていますが、介護保険の利用状況やリハビリテーションの対象疾患によっては自費で行う事があります。
特に頭痛、めまい、しびれに対して当院独自の理学療法を提供しています。
現在、当院が積極的に取り組んでいるリハビリテーションは以下の通りです。


頭痛に対するリハビリテーション

日本人の頭痛の有病率は片頭痛8.4%、緊張型頭痛22.4%で日常生活や社会生活を障害する原因として最も多い疾患の一つです。
当院では、頭痛を訴える患者さんに対してまずMRI・MRAやCTを用いて頭蓋内病変の有無を鑑別したのち、異常がない症例に対し国際頭痛学会分類第3版ICHD-3に基づいて頭痛分類を行い、頭痛の診療ガイドライン2021に従って薬物療法を開始します。慢性片頭痛や慢性緊張型頭痛に対しては薬物療法、単独では治療効果を十分に得られない症例が多く、非薬物療法としてリハビリテーションを積極的に用いています。
特に小児・思春期の登校困難となった慢性頭痛の患者さんに対してリハビリテーションの効果が期待できるため積極的に取り入れています。小児・思春期の起立性調節障害、特に体位性頻脈症候群(POTS)による頭痛に対しても理学療法を有効であると考えています。

片頭痛と緊張型頭痛に対するリハビリテーション

片頭痛と緊張型頭痛患者は頚部にトリガーポイント※を有していることが報告されています。頚部トリガーポイントを治療することで頭痛の改善が期待されます。
※トリガーポイント:特定の筋肉内の局所的な緊張やけいれんが引き起こす疼痛の焦点となる部位である。トリガーポイントに圧力を加えると特定のパターンでトリガーポイントから遠い部位に関連痛を生じる。
トリガーポイントに対するリハビリテーション

起立性調節障害、体位性頻脈症候群(POTS)対するリハビリテーション

起立性調節障害の有病率は中学生男子の16.9%、女子の 25.6%、高校生男子の 21.7%、女子の 27.4%との報告があります。(日本小児心身医学会小児起立性調節障害診断・治療ガイドライン改訂版第 2版)小児・思春期の起立性調節障害は、立ち上がったり急に動いたるする際に、血圧調整が上手くいかずに起こる症状です。この障害が原因で頭痛を生じることがあります。
姿勢や運動パターンを評価し、適切な運動や体操を通じて筋力や姿勢を改善します。これにより起立性調節障害による頭痛を軽減し、生活の質を向上させます。
有酸素運動は末梢の血流を改善させることで症状の改善が期待されます。立ち上がる際の血圧調整を改善を目標に筋力トレーニングを行います。

めまいに対するリハビリテーション

回転性めまいや不動性めまいを特徴とする耳石障害や末梢性前庭障害によるめまいは通常 2週間ほどで改善しますが、長期にわたってめまいが改善しない場合があります。
難治性めまいに対して当院では、詳細な神経耳科学的検査と画像診断を用いてその原因を判断します。その結果、前庭機能障害が明らかな方や、前庭機能は正常化しているにも関わらす前庭性運動失調を呈する持続性知覚性誘発めまいの方を対象に前庭リハビリテーションを行います。当院でリハビリテーションを行っている方の多くは8週間程度で症状が劇的に改善しています。

めまい検査

眼振の検査(Dix-Hallpike Test、Roll test)

急激な頭位変化により、動的な前庭刺激を与えて生じる眼振を観察する。眼振は耳石器と半規管の刺激で誘発されます。

頭位性めまい(耳石に問題がある)

良性発作性頭位めまい症
頭位の変化によって引き起こされる短時間のめまい発作の原因になります。
内耳の半規管内にある微小なカルシウム結晶(耳石)が正常な位置から離れ、異常な刺激を引き起こします。これにより頭の動きに対して不適切な信号が脳に送られめまいを生じます。典型的には、ベッドで寝返りをうったり、座位から臥位になったり、臥位から身体を起したり、屈んだ時にめまいを感じます。突然の強い回転性のめまい、吐き気や嘔吐を伴うこともあります。

耳石が耳管内に移動して異常な刺激を引き起こす症状を和らげるために行います。

前庭機能に障害がある場合

  • 前庭動眼反射が喪失されます。前庭機能が正常に機能しないため、次のような影響が生じる可能性があります。
  • バランス感覚の不安定性: 前庭機能が損なわれると、体のバランス感覚が不安定になり、立つことや歩行に困難が生じることがあります。
  • 空間認識の困難: 前庭機能の障害は、自身の位置や周囲の空間を正確に認識することを難しくします。
  • 歩行の不安定性: 前庭機能が低下すると、歩行中の安定感が減少し、転倒のリスクが増加します。
  • 視覚との不一致: 前庭系と視覚情報が連携しないため、視覚と平衡感覚の調和が乱れ、周囲が動いているように感じたり、目の動きと環境の動きが一致しなかったりすることがあります。
  • 感覚の鈍化: 前庭機能が低下すると、身体の動きや位置に関する感覚が鈍くなり、不快感や不安感を引き起こすことがあります。
視線安定化トレーニング
目の動きと頭の動きの協調性を改善させるエクササイズです。
Gaze Stabilization Exercises(視線安定化トレーニング)は、前庭機能を改善し、バランスと視覚の協調性を向上させるための特定のトレーニングプログラムです。これらのトレーニングは、前庭系と視覚系の連携を強化し、動きに対する安定した視線を確保することを目的としています。前庭系と視覚系を強化し、日常生活での動きやバランスを改善し、不安定な状況にも対処できるようにサポートします。

前庭リハビリテーション
前庭リハビリテーションは、前庭機能障害やバランス問題を改善するための科学的に証明されたトレーニングプログラムです。目的は前庭機能の向上、視線安定化、バランスの改善であり、患者の安定性と日常生活の自立を支援します。

耳石・前庭機能に障害がない場合

持続性知覚性誘発めまい
3ヵ月以上ほぼ毎日持続する回転性のめまい、またはふらつきが生じます。前庭リハビリテーションに加え心理行動的介入を行います

しびれのリハビリテーション

手足がしびれる原因は、様々な要因によって引き起こされます。一般的な原因として神経障害、血行障害、筋肉の緊張、糖尿病、自己免疫疾患、神経毒性、脳や脊髄の障害があります。
絞扼性神経障害は末梢神経が生理的狭窄部において生じる神経障害の総称です。病態は物理的圧迫だけではなく、牽引、血流障害、摩擦など多岐にわたります。上肢の代表的な絞扼性神経障害は手根管症候群(カーパルトンネル症候群、正中神経麻痺)、下肢は足根管症候群(ターサル トンネル症候群、脛骨神経麻痺)です。
当院ではMRI、 CTや頚椎 XPなどの画像検査によって、神経組織の異常や圧迫状態を確認し、神経学的検査(ティネル様徴候、ファーレンテストパーフェクト O徴候等)に加えて神経伝導速度検査を施行して診断を行います。診断結果に基づいてリハビリテーションを行います。

手根管症候群(カーパルトンネル症候群、正中神経麻痺)

正中神経は、肘・前腕の手の側の中央を走行し、手首にある手根管という骨と靭帯で作られたトンネルを通って、主に親指・人差し指・中指に分布しています。手根管で正中神経障害を「手根管症候群」と言います。有病率は年間 10万人あたりに 99人とされています。中年女性に多く、絞扼性神経障害の中で最も多い疾患です。
症状は、母指・示指・中指のしびれです。手首を手のひら側に強く曲げると、しびれが強くなったり痛みが生じたりすることが特徴です。進行してくると、親指の付け根の筋肉が痩せてきたり、親指と人差し指で OKサインが作れなくなります。

足根管症候群(ターサルトンネル症候群、脛骨神経麻痺)

脛骨神経は坐骨神経から分岐して、内科を回り、内側足底神経、外側足底神経に分かれます。足関節内果後方において屈筋支帯で囲まれた足根管を形成しそこを通過する脛骨神経の絞扼性神経障害を「足根管症候群」と言います。足根管症候群の症状は測定部の痛みやしびれが生じます。足底のしびれは内側に生じることが多いが、外側にしびれが生じることもあります。

Kiel, J., & Kaiser, K. (2022). Tarsal Tunnel Syndrome. In StatPearls. StatPearlsPublishing.

手根管症候群に対するリハビリテーション

手根管内の正中神経の滑走性を改善させます。

腱のグライディングエクササイズ

手根骨のグラインド

ダイナミック神経モビライゼーション
"Comparison of Two Manual Therapy Programs, including Tendon Gliding Exercises as a Common Adjunct, While Managing the Participants with Chronic Carpal Tunnel Syndrome",Pain Research and Management, vol. 2022, Article ID 1975803, 11 pages, 2022.

脳卒中に対するリハビリテーション

脳卒中後遺症による片麻痺に対して機能回復を目的にリハビリテーションを行います。上下肢の痙縮による痙性麻痺の増悪に対しては、ボトックス治療と電気刺激療法を行っています。脳卒中発症から 6か月以上経過した方にも適応があります。

パーキンソン病、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺などの変性疾患に対するリハビリテーション

パーキンソン病、多系統萎縮症、進行性核上性麻痺などの変性疾患は、初期症状は振戦やふらつき等の比較的軽微な症状でゆっくりと発症することが多く早期診断が困難な脳神経疾患です。
当院では、こうした変性疾患が疑われる方に対しても正確な診断を行い、早期から適切なリハビリテーションを行うことを心掛けています。

顔面神経麻痺リハビリテーション

ベル麻痺やハント症候群によって顔面神経麻痺を呈します。
顔面神経麻痺では、経過とともに顔面筋に病的共同運動が生じる可能性があります。病的共同運動の具体例として、目を閉じようとしたときに口元が引き上げられる、といった症状があります。顔面神経麻痺のリハビリテーションにおいて重要なことは、早期に治すことや頑張って顔の筋肉を動かすことではなく、病的共同運動を予防しながらマッサージやストレッチといった適切なセルフトレーニングを行うことです。
当院での顔面神経麻痺のリハビリテーションでは、理学療法士が顔面筋のマッサージ、ストレッチやセルフトレーニングの指導をしています。軽い麻痺でも一度受診することを勧めます。